脳を知り、護りそして育む

第24回日本脳低温療法・体温管理学会

大会長挨拶

 この度、第24回日本脳低温療法・体温管理学会学術集会を2021年9月25日・26日に、埼玉県立小児医療センターにて開催する運びとなりました。第24回を迎える伝統ある本学会を開催させていただき、わが国の脳低温療法と体温管理に関する英知を結集させて来られた歴代会長の先生方の末席に座らせていただくことは、この上ない名誉であり感謝しております。自身は新生児科医であり成人領域の救急医療分野には門外漢ではありますが、心身を引き締めスタッフ一同でこの大役にあたりたいと存じます。

 本学会は1998年に第1回の研究会が開催されて以来20年余の歴史を重ね、わが国における脳低温療法の研究や普及に貢献してまいりました。2015年の国際的なガイドラインにおいては体温管理療法(Targeted Temperature Management : TTM)として、心肺停止患者における心拍再開後の治療として推奨され、その有効性が確立しています。国内外で関心を集める神経救急・集中治療医学領域において本学会の担うべき役割は一層大きなものとなっており、心肺蘇生後の低体温療法登録事業J-PULSE-HYPO Registryに関するシンポジウムを行います。特別講演としてProf. Niklas Nielsen(Lund Univ.)に先般公表された「TTM2trial」の結果に基づき「Results of the TTM2 trial」として講演をしていただきます。そして日本蘇生協議会(JRC)蘇生ガイドライン2020に基づく今後の体温管理療法(TTM)について講演を企画しました。

 また、新生児領域では新生児低酸素性虚血性脳(Hypoxic-Ischemic-Encephalopaty:HIE)に対する低体温療法は海外で数多くのRCTによる治療効果のエビデンスが確立され、国内でも広く普及している標準的治療法となっています。国内では新生児低体温療法登録事業Baby Cooling Japanが行われており国内における臨床情報の集積と解析が行われています。さらにHIE治療後の高障害に対する治療法としてさまざまな再生医療が研究されています。

 さらに地球温暖化にその一端が考えられる熱中症患者の増多が昨今救急医療現場では課題となっている最中、現在国内で猛威を振るっている新型コロナ感染症による発熱患者と猛暑による熱中症患者への対応が救急医療現場で逼迫した状況となっています。

 これらを踏まえて学会のテーマを「脳を知り、護りそして育む」として、プログラムを企画しております。新型コロナ禍でも脳低温療法・体温管理を必要とする患者は日々発生しており、特に本学会の多くの関係者がかかわる救急医療現場では逼迫した日々が続いています。そんな時代だからこそ、脳低温療法・体温管理に関する最新の話題を盛り込んだプログラムを企画したいと奮闘しております。

 一方で、新型コロナ感染症流行状況を鑑みながら今回Web開催とし、多くの先生方か移動を伴わず感染対策をしながら在宅あるいはそれぞれの職場で安全にWeb参加していただき、かつ活発な討議ができるように準備をしてまいります。普段なら学会会場に行くことができない先生方もWeb学会なら脳低温療法・体温管理に関する最新の話題や新しい知見を得ることができます。

 今後、ホームページ上で随時学会情報を提示してまいりますので、是非ともホームページからの登録をお待ちしております。

 学会ホームページ https://medical-meeting.jp/24jabh/

2021年8月吉日

第24回日本脳低温療法・体温管理学会学術集会
会長 清水正樹

(埼玉県立小児医療センター
総合周産期母子医療センター新生児科)