第44回日本妊娠高血圧学会学術集会
会長 大口 昭英
自治医科大学附属病院総合周産期母子医療センター

 第44回日本妊娠高血圧学会学術集会を、2024年9月21(土)~22日(日)に、「ライトキューブ」(栃木県宇都宮市)で開催させていただきます。今回の学術集会のテーマは「妊娠高血圧症候群の予防から長期フォローアップまで~ヘルスケアプロバイダーと共に歩む医療を目指して」とさせていただきました。翌23日は休日ですので、この機会に栃木県の名所(日光東照宮など)へもぜひお立ち寄りください。

 日本妊娠高血圧学会は、1980年に設立された歴史ある学会です。妊娠高血圧症候群は、まだその原因が解明されていませんが、ここ20年で、血管新生関連因子、特にsoluble fms-like tyrosine kinase 1 (sFlt-1)とplacental growth factor (PlGF)がその病態形成に深く関与することが、多くの基礎・臨床研究で明らかにされつつあります。そして、妊娠高血圧腎症を発症する妊婦を予測するバイオマーカー(sFlt-1/PlGF比)が、2021年に初めて保険収載されました。診断、予防、治療に関する新しい研究成果が日進月歩で生み出されているダイナミックな領域です。そして、診療ガイドライン委員会では、医療関係者と患者様が適切な判断ができるように、MINDS準拠の診療ガイドラインの作成を進めています。

 昨年初めて開催しました「妊娠高血圧ヘルスプロバイダー講習」には、たくさんの方にご参加頂き、180名の方がその資格を取得されました。本年も講習会を開催します。産科医療に従事する医師のみならず、助産師、看護師、薬剤師、保健師、心理士および栄養士などの医療関係者が対象です。丸一日、10コマの講義を受けることで資格を取得できますので、ぜひ、ご参加頂きたいと存じます。

 今年の学術集会では、3名のご高名な先生に特別講演をお願いしております。獨協医科大学医学部公衆衛生学講座の小橋元教授(産科コホート研究の専門家)、富山大学学術研究部医学系産科婦人科学教室の中島彰俊教授(オートファジー研究の専門家)、そして、香川大学医学部薬理学教室の西山成教授(塩分に関する研究など多数の基礎研究)です。また、シンポジウム1として「Cell lineを用いたpreeclampsiaの基礎研究」、シンポジウム2「HDPにおける降圧療法の最新知見」を企画しました。一般演題はすべて口演としてご発表いただきます。今年から、コ・メディカルの方も発表できることになりました(非学会員でも大丈夫です)。事例や問題提起でも大丈夫ですので、奮って応募ください。また、今年の抄録では、必須ではありませんが、グラフィカル・アブストラクト(主に臨床研究や総説が対象)の挿入を推奨させていただくことにしました。また、一定のテーマ(学術集会のHP参照)について4演題以上の応募があった場合は、ミニ・ワークショップ(発表・質問時間が少しだけ長くなります)を計画しています。多くの皆様に演題を提出していただくことを期待しています。

 今回の学術集会は、コロナ感染症が5類に引き下げられたポストコロナの時代における2回目の学術集会になります。感染には十分な配慮は致しますが、現地のみでの開催を計画しています。また、21日夕方には懇親会を予定しています。多くの皆様方のご参加を心よりお待ち申し上げております。